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Microsoft Clarity、AIエージェントの訪問を見る画面を追加 見方と注意

Microsoftは2026年11月4日、無料のアクセス解析ツールClarityに、AIエージェントがサイトで何をしたかを見る画面などを加えたと発表しました。対象のエージェント、AIのクローラーの画面との違い、数字の読み方、会社のサイトでやることを整理します。

執筆:Laugh Mind 編集部 監修:柴田 翔太郎(株式会社Laugh Mind 代表取締役)

Microsoftは2026年11月4日、無料のアクセス解析ツール「Microsoft Clarity」に、AIエージェント(利用者に頼まれて、サイトで検索・入力・予約などの操作をするAI)の訪問を見る「Agent Activity」の画面などを加えたと発表しました。対応するエージェントとして挙げられているのは、今のところOpenAI・Google・Anthropicのものです。Clarityをすでに入れている会社は、自社のサイトにAIエージェントが来ているか、来て何をしたかを確かめられるようになりました。入れていない会社が、このためだけに急いで入れる必要はありません。

発表の内容

Clarityのブログ(英語)で発表された新しい機能は、大きく3つです(シミュレーション評価は、Agentic Analyticsの一部)。

  • Agentic Analytics(AIエージェントの分析):Agent Activity の画面で、AIエージェントの訪問の増減、どのエージェントが来たか、来てから何をしたか(検索・フォームの送信・ログイン・ダウンロード・予約・購入手続き(checkout)など)を見られる。対応するエージェントとして挙げられているのは、Google・OpenAI・Anthropicの運営元のもの(「今のところ」の注記つき)。
  • シミュレーション評価:大事な作業(購入など)を、AIエージェントが自社のサイトで最後までできるかを試す。できたか、かかった時間、操作の回数、直すとよい所が出る。まずは物販と旅行の場面から始め、ほかの場面にも広げる予定。
  • Brand Agents:もとはサイトに置くAIの買い物の案内役。Brand Agentsを使っていて、条件を満たすWooCommerce・Shopifyのお店は、AIがおすすめを答えるときに、商品がMicrosoft Copilot・Bing・MSNなどに出る場合がある(掲載の約束ではない)。すでにBrand Agentsを入れているお店は、商品の一覧の追加のアップロードや設定は要らないとされている。Clarityの計測のタグを入れているだけのお店も同じ、という意味ではない。地域の事業者向けには、サイトに置くAIの案内役が、サービス選びと予約を手伝う(条件を満たすWordPressのサイトから。Square・Jobber・HubSpot・Calendly・Housecall Pro・Salesforceなどの予約・顧客管理の道具とつなぐ)。
  • Ask Clarity:サイトの使われ方について質問すると、録画やヒートマップなどのデータを調べて答える。今は小売向けの限定ベータで、使うには順番待ちの登録が要る。

Microsoftは、新しい機能を世界中のすべての利用者に提供すると書いています。ただし、Ask Clarityは限定ベータ、Brand Agentsは条件を満たす事業者向けで、その条件や対象の国は発表に詳しく書かれていません。Agent Activity の画面は、10月29日のブログで、AIエージェントの訪問があるプロジェクトに一般提供していると説明されています。Clarity自体は無料です。

AIのクローラーとAIエージェントは別の画面で見る

結論から言うと、AIのクローラー(サイトを読みに来るプログラム)と、AIエージェントは、Clarityでは別の画面で見ます。

Microsoft Clarityで、サイトへの訪問を3つに分けて見る図。人の訪問は、これまでの録画・ヒートマップで見る。AIエージェントは、新しいAgent Activityの画面で見る。対応として挙がるのはOpenAI・Google・Anthropicのエージェント。AIのクローラーは、Bot Activityの画面で見る。CDNとの接続が必要で、読みに来たことは、回答に使われた・引用されたことと同じではない。
Clarityでは、人・AIエージェント・AIのクローラーを別の画面で見ます。
  • AIエージェント:利用者の指示で、ページを開いて操作します。新しいAgent Activityの画面で見ます。Microsoftの分析では、OpenAI・Google・Anthropicの「エージェントのブラウザ」を検出して、エージェントの訪問を見分けています。
  • AIのクローラー:ページの内容を読みに来ます。前からある「Bot Activity」の画面で見ます。ClarityのFAQによると、Bot Activityは最初から使えるわけではなく、Fastly・Cloudflare・Amazon CloudFrontなどのCDN(配信サービス)とつないだあとで使えます。つなぐときに、CDNの側で費用がかかる場合があるとも書かれています。

FAQは、AIのクローラーが読みに来たことは、AIの回答に使われた・学習に使われた・引用されたことを必ずしも意味しない、とも説明しています。引用されたかどうかは、別の「AI Citations」のデータと合わせて見る、という位置づけです。AIのクローラーがサイトを読めているかの確かめ方は「ChatGPT・Claudeに自社が出てこない? AIのクローラーが読めているかの確かめ方」で紹介しています。

Microsoftの分析の数字と、読み方の注意

Clarityのチームは10月29日に、AIエージェントの訪問の分析を出しています。2026年8月13日〜9月9日に、Clarityを使う230,511のプロジェクトで、AIエージェントが関わった520万件を超えるセッション(訪問の記録)を調べたものです。週あたりのセッション数は3週間で88%増え(11月4日のブログは「ほぼ2倍」と表現)、分析の期間の中で週に200万件近くになったとしています。

AIエージェントのセッションで多かった操作を、人のセッション(同じ期間、AIエージェントの訪問があった同じプロジェクト)と比べると、次のとおりです。

操作(Smart Events)AIエージェントのセッション人のセッション
購入手続き(Checkout)に関するイベント25.21%14.65%
フォームの送信19.85%18.56%
外部へのクリック14.28%26.99%
サイト内の検索7.16%4.79%

※Microsoft Clarityの分析(2026年8月13日〜9月9日)に載っている値を、そのまま抜き出したもの。表の注では、その操作があったセッションの割合と説明されています。予約(8.42%)は、人の側の上位10に入っていないため比べていません。

この割合は、520万件のうちの割合として読まないでください。 同じ分析の表では、購入手続きのイベントがあったAIエージェントのセッションを306,621件・25.21%としています。この件数と割合から計算すると、割合のもとになった数は約122万件で、分析全体の520万件超と合いません。本文には「操作の割合」と読める書き方もあり、どの集計の割合なのかは、公表された資料からは確かめられません。この記事では、AIエージェントと人で、どの操作の比重が大きいかの目安としてだけ紹介します。

読むときの注意は、ほかに4つあります。

  • 購入や支払いが終わった割合ではありません。 Checkoutは、Clarityの「Smart Events」(クリックやページの表示などから、購入・お問い合わせなどの操作を見分けて記録する機能)で記録されたイベントです。この分析では、支払いや購入が終わったことを示すとは書かれていません。人の側の表には、別に「Order success」(注文の完了)の項目があります。

  • AIエージェントが一人で最後までやった、という意味ではありません。 Microsoftは、AIエージェントのセッションには人への引き継ぎが含まれる場合があり、今のClarityでは分けられないと書いています。

  • 購入までの段階の数字ではありません。 それぞれの操作は別々に数えたもので、順番のある流れ(ファネル)や、作業が終わったことの証明として読まないよう、Microsoftが注意しています。

  • Clarityを使うサイトでの数字です。 日本のサイト全体や、ふつうの会社のサイトで、訪問のうちどれだけがAIエージェントか、を示す数字ではありません。

何が変わるのか

Microsoftは、多くのアクセス解析は人の訪問を前提に作られていると書き、AIエージェントの訪問をふつうの訪問と見分けにくいことを、測るうえでの新しい課題として挙げています。たとえば、お問い合わせフォームの送信が増えたとき、その一部はAIエージェントが関わった訪問かもしれません。

Microsoftは、AIエージェントが正しい商品を見つけても、キャンペーンを見落としたり、購入手続きまで進んで行き詰まったりすることがあり、そのときサイト側は理由を知らないまま客を逃すかもしれない、と書いています。Agent Activityの画面とシミュレーションは、それを見えるようにするための機能です。

一方で、まだ様子見でよい点もあります。

  • 対応として挙げられているのは、OpenAI・Google・Anthropicのエージェントです。ほかのエージェントの訪問がこの画面に出るかは、発表に書かれていません。
  • シミュレーションは、物販と旅行の場面から始まったところです。
  • Brand Agentsで商品が出るのは、MicrosoftのAI(Copilot・Bingなど)です。GoogleのAIによる概要・AIモードや、ChatGPTの回答に出ることとは別の話です。

会社のサイトでやること

Laugh Mind では、会社のサイトの状況ごとに、次のように整理しています。

  • Clarityを入れている:Agent Activityの画面で、AIエージェントの訪問があるか、どのページで何をしたかを見る。画面に何も出なくても、設定の誤りとは限りません(見分けられるエージェントの訪問がまだない場合もあります)。
  • お問い合わせ・予約・資料請求のフォームがある:AIエージェントの訪問があれば、フォームの送信が記録されているかを見る。数字はAIエージェントが関わった訪問として読み、人の操作と分けて断定しない。
  • フォームの送信が記録されていない:それだけで、途中で止まったとは判断できません。Clarityは、購入・お問い合わせ・フォームの送信など9種類の操作を自動で見分けますが、見分けられなければ自動のイベントは出ません。まず、そのフォームの送信がSmart Eventsとして記録される設定になっているかを、制作会社やClarityのプロジェクトの管理者と確かめます(イベントを作る・直すのは、プロジェクトの管理者だけができます)。録画など、ほかの記録とも照らし合わせ、記録が足りないときは「止まった」ではなく「確かめられない」として扱います。
  • AIのクローラーも見たい:Bot Activityは、CDNとつないだあとで使えます。CDNの側の費用も含めて、制作会社や担当の技術者と相談する。
  • Clarityを入れていない:このためだけに急いで入れる必要はありません。入れるときは、サイトに計測のタグを足すことになるので、プライバシーポリシーなどで計測ツールについて説明しているかも合わせて確かめる。
  • ネットショップを持っている:Brand Agentsを考えるなら、①Brand Agentsを使っているか(Clarityの計測のタグだけでは足りない)、②お店が条件に当たるか、③日本で使えるか、の順に、Clarityの管理画面や案内で確かめてから決める。商品が出ることは約束されていません。

AIの検索からの表示や訪問の測り方は、「AI検索からの表示と訪問の測り方:Search Console・GA4・Bingで見る数字」でまとめています。自社のサイトがAIの検索や回答でどう扱われているかを順に確かめたいときは、「AIO SCORE 100」の初回診断(無料)もご利用ください。

まとめ

  • Microsoftは2026年11月4日、無料のClarityに、AIエージェントの訪問を見るAgent Activityの画面などを加えたと発表した。対応として挙げられているのは、OpenAI・Google・Anthropicのエージェント。
  • AIのクローラーは、別のBot Activityの画面で見る(CDNとの接続が必要)。読みに来たことは、AIの回答に使われた・引用されたことと同じではない。
  • Microsoftの分析(2026年8〜9月、Clarityの230,511プロジェクト)では、AIエージェントの関わるセッションで、購入手続きやフォームの送信などのイベントが多く記録された。ただし、購入や支払いが終わった割合ではなく、人への引き継ぎを含む場合もある。公表された割合は、もとになった数が分析全体の件数と合わないため、目安として読む。
  • Clarityを入れている会社は、画面を一度見て、フォームの送信が記録されているかを確かめる。記録がないときは、止まったと決めつけず、Smart Eventsの設定から確かめる。入れていない会社は、急いで入れなくてよい。
  • Ask Clarityは小売向けの限定ベータ。Brand AgentsでMicrosoftのAIに商品が出る可能性があるのは、Brand Agentsを使い、条件を満たす事業者。日本で使えるかは、管理画面や案内で確かめる。

参考・出典

  1. Microsoft Clarity Blog「Agents act, LLMs recommend, and people browse. Microsoft Clarity connects all three journeys.」(2026年11月4日・英語) ↗
  2. Microsoft Clarity Blog「What AI Agents Do on Websites - Insights From 5.2 Million Sessions」(2026年10月29日・英語) ↗
  3. Microsoft Learn「Microsoft Clarity - Frequently asked questions」(英語) ↗

この記事の監修者

柴田 翔太郎株式会社Laugh Mind 代表取締役

Webディレクターとして企業サイトやブランドサイトの制作に携わったのち、2021年に株式会社Laugh Mindを設立。企業・採用ブランディングから、Webサイトの制作・改善・運用、AIO・LLMO(AI検索最適化対策)まで、企業の魅力を伝えるための支援を手がける。

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